思えば俺は子供の頃から何もしたくなかった
幼稚園に通っていた時、ふと思ったものだ。先生(保育士さん)はなぜ今日も休まずに幼稚園に来ているのだろう?大人なのだから、仕事はいつでも自由に休んでいいはずだ。俺が大人になったら毎日休んで家にいるのに、と。
もちろんいつでも自由に休んでいいなんてことあるわけないのだが、俺は真剣にそう思っていた。
そんな俺も大人になるにつれ、教育や周囲の影響を受け、何かをしなければ、と思うようになる
普通に学校を卒業して仕事をして結婚をして家を建てて車を買わなければいけないんだ
ダメなんだ、そうじゃなきゃ、絶対にダメなんだ
世間のプレッシャーに押され、焦燥感にかられて、俺も人並みに色々な何かをしなければならないと思い込むようになっていた
だから20代30代は普通に色々と頑張ってみた。でも仕事も趣味も恋愛もうまくいかなくて。馬鹿で不器用だから。全部ダメだった。
でも、うまくいかなかったから、ダメだったのだろうか?
よく勝負事は勝てなきゃ面白くないというが、勝てなかったからダメだったのだろうか?
職場に向かう電車の窓ガラスから街の景色をぼんやり眺めながら、俺は思う
幼い頃、幼稚園でエプロンを着けて園児達の世話をしていた先生——
ああ、そうだ、俺は元々何もしたくなかったんだ
最初から、産まれた時から
そして今も、何もしたくないんだ
そう気付いた
何を頑張っていたのだろう
何をうまくいかないことに落ち込んでいたのだろう
俺は仕事もしたくないし趣味も何をしてもすぐに飽きるし
とかくあらゆる物事に向上心がない
多少やってて楽しいと思えるものにも、でも結局トップクラスにはなれないしな、とか考えちゃうし、仕事も出世したいとはまったく思わない
つまり死にたいのか? と問われれば別に今すぐ死にたくはない。
やりたいことがなく
働きたくなく
ただ何もしたくない
呼吸すらめんどくさいと思うことがあるだけだ
一体なんで産まれてきたんだろうね